むかしむかし、せかいさいだいのまじゅつしがまだこどもだったころ。 かれがすんでいたまちは、それはそれはひどいところでした。 かみさまをしんじるおとうさんやおかあさんはわからずやで、がっこうのせんせいはいじわるばかり。なのに、うわっつらばかりいいものだから、かれらはみんなまちのかおやくでした。おさないかれはそんなはきだめのようなまちでくらしながら、こんなうそつきをさばくこともできない、かんたんにだまされる、はんぱなせかいをつくったかみさまなんてたいしたことないんだなとおもうようになりました。 だったら、わたしがほんものをみせてやろう。 はんぱなかみさまにかわって、ただしいルールをみつけてやろう。 これが、のちにせかいさいだいのまじゅつけっしゃとなる『おうごん』のもんをたたき、あまたのじゅつしきやれいそうをかいはつしたにんげんのスタートちてんです。 ですが、もちろんすべてがせいこうというわけではありません。 かれがこたえにちかづくたびに、あちこちからじゃまはいります。きょうこなけっしゃはうちわもめをおこし、こどもはたおれ、つまとはわかれ、かぞくはバラバラになって。かれがつまずくたびに、いつもどこかでくすくすとわらうもの()がいるです。 「同じじゃないか……」 それでも、かれはがんばります。 かみさまにもだせなかったこたえをみつけて、せかいをよりよくするために。 「これじゃあ、あの『魔神』どもと何も変わらないじゃないかァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼︎‼︎‼︎」 なげいて、なきさけんで、うちのめされて、ぜつぼうしても。 きょうもアレイスター=クロウリーはかみさまのルールとたたかっていくのです。 漢字変換 昔々、世界最大の魔術師がまだ子供だった頃。 彼が住んでいた街は、それはそれはひどいところでした。 神様を信じるお父さんやお母さんは分からずやで、学校の先生は意地悪ばかり。なのに、上っ面ばかりいいものだから、彼らはみんな町の顔役でした。幼い彼はそんな掃溜のような街で暮らしながら、こんな嘘つきを裁くこともできない、簡単にだまされる、半端な世界をつくった神様なんて大したことないんだなと思うようになりました。 だったら、私が本物をみせてやろう。 半端な神様に代わって、正しいルールを見つけてやろう。 これが、後に世界最大の魔術結社となる『黄金』の門を叩き、数多の術式や礼装を開発した人間のスタート地点です。 ですが、もちろんすべてが成功というわけではありません。 彼が答えに近づくたびに、あちこちから邪魔はいります。強固な結社は内輪揉めを起こし、子供は倒れ、妻とは別れ、家族はバラバラになって。彼が躓くたびに、いつもどこかでくすくすと笑う者()がいるです。 「同じじゃないか……」 それでも、彼は頑張ります。 神様にも出せなかった答えをみつけて、世界をよりよくするために。 「これじゃあ、あの『魔神』どもと何も変わらないじゃないかァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼︎‼︎‼︎」 嘆いて、泣き叫んで、打ちのめされて、絶望しても。 きょうもアレイスター=クロウリーは神様のルールと戦っていくのです。